遊びの線


刺青には浮世絵にみられるような遊びの線は、はぶかれている。
次にもうひとつの線に触れておきたい。
それは線といっても隠れてしまうような、それでいて効果を上げる種類の線である。
刺膏では、はじめに線を入れる。
つまり輪郭の筋を彫るわけだが、さらにその上から色、すなわちぼかしを
入れることがある。

とうぜん、初めに入れた線は埋もれることになるが、まったく見えなくなる
わけではない。
いってみれば、重ねて入れることで線が下から浮き出てみえる効果をねらう。